個人名の旧氏(旧姓)併記について
特許庁への手続において旧氏(旧姓)併記が可能になります
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/madoguchi/info/kyuuji.html
上記の特許庁のプレスリリースによると、2021年10月1日より、特許庁へ提出する全ての書類を対象に、発明者、出願人、審判当事者等の氏名欄において旧氏を併記(括弧書きで記載)することが可能になるとのことです。
記載例(願書)
【特許出願人】
【住所又は居所】 東京都千代田区霞が関3-4-3
【氏名又は名称】 特許(実用) 太郎
このように、記載例についても示されていました。
特許調査や特許分析において、色々な影響があるかと思いましたので、いくつかの考察をしてみました。
企業名ではなく、個人名で出願されたり、権利化された場合には、出願人(権利者)検索に影響が出ると思います。また、論文や書籍の著者が気になると、発明者指定で検索を行うことがありますが、発明者検索にも影響がありそうです。
この10月から出願された特許は、1年半後に公開されますので、2023年4月頃にならないと、どのように公報に記載され、どのように特許データベースの書誌情報に収録されるのかが不明ですが、今後は注意が必要になりそうです。
また、継続的に検索を行っているSDI検索式に個人名を指定している場合には、手直しなどの対応が必要になりますね。
競合他社の分析をするときには、発明者の統計情報を活用することがありますが、今後は発明者分析でも注意が必要ですね。
以前に自社と他社の発明者統計分析を報告した際に、「当社のキーマンのB課長の名前が見られないのはおかしい。」と指摘されたことがありました。内情をヒアリングすると「B課長は婿養子に入られており、前の氏はA課長です。」とのことでした。旧氏と新氏に分散されて集計されたので出願件数の上位に現れなかったというわけです。発明者集計のチューニングを行い再度パテントマップを作成したら、「B課長(旧姓:A課長)」はちゃんと表示されるようになりました。
統計分析では、単純な集計処理ではなく、集計条件のチューニングが必要であると学ばされた事例でした。
1年半の公開公報を待たずに、名義変更などのデータが反映される審査経過情報では、早くに、今回の旧氏(旧姓)併記のデータが反映される可能性があるので、注意深く見守りたいと思います。