失敗から学ぶ ②:ノイズを増やしてしまった類義語展開
長年の特許調査実務経験の中で、「ヒヤリ」としたり、「やっちまった」という経験を何回かしながら、「2度と失敗はしない」との思いで特許調査の品質を高めてきました。恥ずかしくも、失敗事例を紹介しますので、同じ失敗を未然に防止してください。
調査テーマ
「携帯電話」についてキーワード検索を実施する。調査モレを少なくするために、類義語を展開して検索する。
調査アプローチ方法と問題点
以下の検索式で検索したところ、携帯電話に関係が無いノイズが多く含まれていた。
携帯電話+携帯型電話+移動電話+移動型電話+セルラー電話+セルラ電話+モバイルフォン+PHS+通信端末+携帯端末
「ノイズを増やしてしまった類義語展開」の事例
「通信端末」と指定するだけでは、固定型等のあらゆる通信端末も含まれる。
→通信端末×(携帯+モバイル+移動)と指定する
「携帯端末」と指定すると、ノートPCやPDA等の電話端末以外の移動携帯端末が含まれてしまう。
→携帯端末×(電話+GSM+CDMA)と指定する
キーワード指定検索を実施する際には類義語を展開してOR検索を実施すべきですが、関連するキーワードをなんでもかんでも指定するのではなく、指定するキーワードが含む概念と、ヒットさせたい概念とのギャップをしっかりと見極める必要があります。特に今回の失敗事例のように、上位概念のキーワードを指定する場合には、調査モレの危険性は低くなりますが、不要なノイズを増やしてしまいます。では、ノイズが増えるからと言って、上位概念のキーワードを使うのを止めるのではなく、さらに関連する概念を掛け合わせて検索することでノイズの増加を防ぐことができると思います。