その2 キーワードから調べる
独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)より、無料で特許情報の検索ができる「J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)」が提供されています。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
1999年から「特許電月には、大きく機能改善がなされて検索操作のインタフェースも大きく変更されました。
この講座では、特許調査の初歩の段階で行われる簡単な特許検索について、無料で手軽に使える「J-PlatPat」の実際の操作事例を紹介しながら解説していきます。
2.キーワードから調べる
気になる商品を見かけた際に、特許に関する何らかの番号がわかれば、その番号を検索して関連する特許を抽出することができますが、番号に関する情報が無ければ、Google検索でググるように、キーワードを指定して検索することになります。
そこで、「J-PlatPat」でキーワード検索するやり方について説明します。
(1)キーワード検索事例のテーマと検索の実施
図7には、キーワード検索を実施する仮想テーマを紹介しています。大手文具メーカーのプレスリリースで「かる~く開けるクリップを新たに発売します」と新商品発表が行われていました。さらに、プレスリリースを読んでいくと、「本体に「てこの原理」を利用した突起を配置し、この突起がレバーを開くときの「支点」となって開く力を大幅に軽減している。」と記載されており、この商品の特徴が説明されていました。
キーワード検索では、調べたい「商品の名称」や「特徴的な部位や構造」、さらに、その特徴により得られる「効果」に関するキーワードを指定して検索を行います。今回のテーマでは、商品の名称である「クリップ」と、特徴的な部位である「レバー」と、特徴的な構造である「支点、てこの原理」といったキーワードを指定することにしました。
図8は、キーワードを入力した画面になります。左側の「検索項目」をプルダウンして選択し、その右側のキーワード入力欄に検索するキーワードを入力します。
複数のキーワードを列挙して入力する場合は、それそれのキーワードの間にスペースを入れます。
キーワード入力欄の下には「除外キーワード」を入力する欄がありますが、「除く検索(NOT検索)」を実施するときには、関連する特許が除外されることが無いように注意する必要があります。
(2)キーワード検索の対象とヒット件数の違い
キーワード検索画面の左側の「検索項目」をプルダウンして、キーワード検索する対象を選択しますが、選択する対象により、モレ、ノイズ、ヒット件数に影響するので、特許調査の目的や規模に応じて適切に選択する必要があります。
図9には、選択する検索対象と、ヒット件数、「モレ」のリスク、「ノイズ」の数との関連性についてまとめました。また、実際に今回のテーマで指定するキーワード検索において、ヒット数の違いを示しました。
すべてキーワードについて全文指定で検索すれば、モレのリスクは少なくはなりますが、内容をチェックする件数が4000件弱と膨大な量になってしまいます。逆に、すべてのキーワードについて名称/タイトル指定で検索すると、ヒット件数は0件になってしまいました。
今回のテーマでは、商品の名称である「クリップ」は「名称/タイトル」として含まれており、特徴部分を表す「レバー」と「支点、てこの原理」といったキーワードは「要約/抄録」に含まれているとして検索を実施すれば、内容のチェックが可能な件数にまで絞り込むことができました。
(3)キーワード検索の検索結果と内容表示
図10は、キーワード指定検索の検索結果の表示画面です。「名称/タイトル=クリップ×要約/抄録=レバー×要約/抄録=(支点+てこの原理)」でヒットした25件の一覧リストが表示されます。
文献番号のハイパーリンクをクリックすると、図11の詳細表示画面が表示されます。キーワード検索で指定したキーワードが、キーワード毎に異なる色でハイライト表示されています。
キーワード検索で指定したキーワードは、特徴を表すキーワードですが、ハイライトされることで、その特徴的な言葉がどこでどのように使われているのかの確認作業が容易になります、すなわち、特許の内容を把握するのに役立つ表示機能であると思われます。
ヒットした25件を1件ずつ、順番に見ていくことになりますが、図12に示したように、文献表示画面の右上に出ている「次の文献」や「前の文献」のハイパーリンクをクリックしながら順次内容の確認を行えます。
今回のテーマでは、1件目の特開2019-018551の他にも、4件目の特開2013-018256もレバーの支点の位置について工夫することが記載されていると思われました。
今回の特許検索講座の解説は以上です。次回は「その3 特許分類を使って調べる」について解説していきます。
以上