その3 特許分類の見方、探し方のコツ(後編)
検索式立案プロセスを学んだ後には、できるだけ数多くの案件に取り組み、学んだ手法を自分のものにしていく必要がありますが、同時に、それぞれの案件に取り組むことで得られた新たな知見を蓄積していくことも重要です。
特に、「こんなことをすると調査モレが起こる」とか、「こうすると調査モレを防げる」とか、「こんな工夫をすれば効率的に欲しい特許を検索できる」といったノウハウを多く知ることで、特許調査の精度をさらに高めることができます。
この講座では、検索実務や検索事例研究活動により得られたいろいろなノウハウについて解説するとともに、効果的な学びの機会となる検索事例研究の活動の進め方を紹介します。
2.特許分類の見方、探し方のコツ
特許調査の基本は関連する特許分類を特定し、特許分類指定検索を実施することです。特許分類検索を実施することで、モレを減らすとともに、ノイズを少なくした特許調査を実現できます。
前回に引き続き、特許分類を特定する際に参考となるノウハウや注意点について説明します。
(4)Fターム解説を確認する
Fタームに関しては「Fターム解説」という内容確認に役立つ機能があります。図7にはFターム解説の画面を示しました。
J-PlatPatの「特許・実用新案分類照会(PMGS)」のから参照される「Fタームリスト表示画面」に表示された「解説」の文字リンクをクリックすると、「Fターム解説」の画面に切り替わります。「Fターム解説」では「Fタームリスト」の分類項目説明文よりも詳細な分類内容の説明文を参照することができます。さらに、Fタームを細分化する「付加コード」の内容についても、「Fターム解説」の画面から確認することができます。
(5)最新の特許分類を特定する
特許分類は技術分類であり、技術の進歩発展に合わせて、分類の新設や改廃が行われています。IPCやFI、さらにFタームのそれぞれが日常的に新設や改廃が行われています。図8にはハイブリッド車に関連する特許公報に対するFI分類の付与状況と、付与された分類コードの新設改廃履歴を示しました。
ハイブリッド車に関連するFIはこの20年の間に何度も新設や改廃が行われているので、公報が発行された時点で運用されている分類コードが公報記載のFI分類として付与されています。一方で、出願された特許については、公報に記載されたデータに加えて、審査経過情報などを含む「特許情報標準化データ」が蓄積されています。この特許情報標準化データには公報発行時に公報に記載された特許分類に改廃が発生しているときには改廃された最新の特許分類コードも加えて蓄積されています。
図9に示したとおり、公報に付与されている新旧の特許分類を確認するには、審査経過の情報が表示される画面の「FI記事」「Fターム記事」を確認すると、その特許出願に付与された新旧の特許分類コードを確認することができます。
調査モレのない特許調査を実現するためには、基本的には、付与された新旧の特許分類コードを全て含めて検索を実施することをお勧めします。
今回の特許検索講座の解説は以上です。次回は「その4 先行技術調査のかんどころ」について解説していきます。