その4 時系列流れ図について

特許調査の結果を、見やすく、分かりやすく、一目で把握しやすくするツールとしてパテントマップがあります。特許調査により抽出された関連特許群の全体像を把握するとともに、個々の特許の中身を示して「見える化」するために、パテントマップを作成し、さらに、作成したパテントマップを活用して、知財活動や研究開発活動に生かしていくことは事業の発展に役立ちます。

この講座では、抽出した特許のポイントを要約するとともに、技術分類を設定しながら層別体系化した関連特許一覧表の作成から始まり、全体像を把握するための技術系統分布図や、技術のトレンドを把握するための時系列流れ図の作成するプロセスについて解説します。さらに、パテントマップを活用して開発テーマを模索したり、特許ポートフォリオ(特許網)を構築する事例についても紹介します。

4.時系列流れ図について

時系列流れ図とは、特許調査により抽出し体系化された特許群を時間軸でマッピングしたものです。具体的には、縦軸に体系化した技術系統項目を配置し、横軸に出願年度を配置したマトリクスを作成します。そして、各技術系統項目にグルーピングされた特許のカードをその特許が出願された年度の欄に配置して作成します。

作成した時系列流れ図を眺めると、このテーマに関連する特許群の全体像を時間軸の変化とともに俯瞰することができるので、「どこの会社が、どのような機能を特徴とする研究開発活動を、いつごろ行っていたのか?」という過去から現在までの動きを把握することができます。
技術の未来予測は大変難しいテーマであると思いますが、将来動向の予測に使えるパテントマップとなると、この時系列流れ図が挙げられると思います

図9には、時系列流れ図において、着目すべきポイントや読み取るべき挙動についてのコメントを示しました。
このパテントマップでは、どのような技術課題について、いつの時代に取り組まれているのかといった動きを読み取ることができます。また、会社ごとに色分けをしておけば、注目すべきライバル企業が過去から現在までどのような技術課題に取り組んできているかを読み取ることができます。

図9 時系列流れ図からトレンドを読む

このような、時間軸を使ったパテントマップでは、その時間軸に社会や市場の特許情報以外のトピックを把握すべきです。例えば、各種の法律規制や、業界団体で制定される自主規制などの動きに合わせて、研究開発や技術開発が行われ、それに伴い特許出願が行われるためです。
特許出願の動向に変化が見られた場合に、その業界で発生した時系列のトピックと照らし合わせることで、その変化の理由を読み解くことができるかもしれません。

過去から現在までの技術開発の変化や、会社別の出願内容の時系列の流れを読み取ることで、今後取り組むべき課題が見えてくるのではないでしょうか?
1件1件の特許をカード化して発明アイデアの中身を見ているからこそ、きらりと光ると感じられる特許や、他とは一味違う独自性が感じられる特許を見つけることができると思います。時系列流れ図の縦軸項目を『技術課題』として過去から現在までのトレンドを把握すれば、今後取り組むべき潜在するニーズを見つけることができると思います。

今回の特許検索講座の解説は以上です。次回は「その5 新用途、新分野模索型のテーマ探索」を解説していきます。

 

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